アクシスZのフロントタイヤ交換をやってみたいけど、どのような手順で作業すればわからないと悩んでいませんか?
- フロントタイヤの交換費用を抑えるためにDIYで交換したい
- 走行距離も増えてきたので、ホイールベアリングを交換したい
- スピードメーターギヤのグリスアップをしたい
じつは、初心者の方でも順序よく交換できる方法があります。それが、サービスマニュアルに沿った手順と必要な工具を用意することです。
私は、アクシスZの走行距離が11万kmを超えるまで維持しており、今なおフーデリ稼働で使い続けることができています。
この記事では、整備初心者の方でもアクシスZのフロントタイヤとホイールベアリングの交換ができる方法をお伝えします。
この記事を読むと、アクシスZのフロントタイヤ交換の方法のみならず、付随する一連の整備作業の方法がわかります。
なお、Youtubeに一連の作業手順も紹介していますので、あわせてご覧いただければ安心して作業に入ることができます。
アクシスZのフロントタイヤを取り外す

フロアステップの前方あたり(ガソリンタンクがある部分)にパンタジャッキをかけ、ハンドルを回してフロントタイヤを少し浮かせます。

ブレーキキャリパーを固定しているボルトは高トルクで締め付けてあるため、ロングスピンナーハンドルを使うと楽に外せます。

17mmのメガネレンチをフロントホイールアクスルにかけ、ホイールナットをロングスピンナーハンドルを使って緩めます。

アクスルシャフトを抜いたらタイヤを外すことができます。
ホイールからタイヤを取り外す

タイヤを取り外すためには、まずバルブコア(通称:虫)を外してタイヤの空気を抜く必要があります。
虫回しドライバーという専用工具を使う必要があります。
バルブコアを押さえながら外さないと、空気の勢いで飛び出します。虫回しドライバーで押さえながら徐々に外すようにしましょう。

ビードブレーカーという専用工具を使って、タイヤのビードを落とします。
タイヤ1周分のビードが落ちていることを確認します。
ブレーキディスク側のビードを落とす場合は、ブレーキディスクに負荷がかからないように柔らかい敷物などを敷くと良いでしょう。
今回は古いタイヤを下において作業しました。


タイヤレバーは3本用意します。
タイヤレバーを扱うときは、手にそれなりの負担がかかり怪我をしやすいので、ラバー軍手の着用をおすすめします。

両膝で手前のタイヤのビードを落としながら、タイヤレバーでビードをめくり上げていきます。
ビードをめくり上げるときは、5~6cm程度の間隔を意識しながら欲張らずに上げていくように心がけます。
間隔を広げすぎるとビードを上げることができません。

画像のように、序盤は3本のタイヤレバーをフル動員しながら狭い間隔でビードを上げていきます。

半周程度ビードをめくり上げることができたら、あとは手で上げることができます。

タイヤレバーでタイヤを下に押し下げるように力を入れます。

何度か叩いていると、ビードが徐々にホイールから抜けていきます。


ある程度ホイール見えてきたら、あとは体重をかけながら引き離すようにするとタイヤを外すことができます。
スナップインバルブの交換
スナップインバルブとは、タイヤの空気を注入する口金のことです。
根元部分のゴムが劣化してくると空気漏れの原因となるため、定期的に交換が必要となる消耗部品です。
アクシスZの前輪の場合、タイヤの交換周期は後輪に比べて非常に長いため、前輪タイヤの交換と同時にスナップインバルブもあわせて交換してしまうのが安心です。

根本のゴム部分へ一周にわたりカッターナイフの刃を入れます。
大型のカッターナイフが作業に適しています。

スナップインバルブを分離することができました。

タイヤのビード部分が密着するホイールの内側部分には、古いビードワックスの汚れなどが付着しています。しっかり掃除しておかないとエア漏れの原因にもなるため、パーツクリーナーとウエスでしっかり拭き取ります。

取り付けるスナップインバルブはIRC製です。

タイヤメーカーであるIRCから発売されているスナップインバルブは信頼性が高いため、毎回使っています。

少しでも気密性を確保したいという目的で、ホイールに密着するスナップインバルブのゴム部分にもビードワックスを塗ります。
マルニのビードワックスは一見容量が少ないように見えますが、スクーターのタイヤ交換であればかなり長持ちします。


スナップインバルブの取り付けには専用工具を使います。

バルブキャップを外した状態でバルブ装着ツールにバルブを通し、テコの原理で手前に押し下げると簡単にバルブをホイールに装着することができます。
キャップを閉めたら作業は完了です。
バルブの向きは車体右側となりますので注意しましょう。
ホイールベアリングとオイルシール交換
今回、フロントタイヤとあわせて交換する関連パーツは以下のとおりです。



ヤマハのパーツリストでは93306-301Y3となっておりますが、同じ純正適合品番です。

ブレーキディスク側のオイルシールの取り外しには、専用工具であるシールプーラーが必要不可欠です。
実際、オイルシールはかなり固着していたため、マイナスドライバーでは外せなかった可能性が高いです。

シールプーラーを使ったことにより、手早くオイルシールを取り外すことができました。
ホイールベアリングの交換にはベアリングプーラーは必須工具です。


使用したチャックは12mmでした。
なお、ベアリングプーラーの使い方はツールカンパニーストレートさんの動画です。

スピードメーター側のベアリングを外すことができました。

ベアリングの奥にはスペーサーが入りますので、組付けの際には入れ忘れないように注意しましょう。
ブレーキディスク側のベアリングはベアリングプーラーを使わず、家にあった鉄パイプで外しました。

穴径にあった鉄パイプを挿入し、ハンマーで叩くとベアリングを外すことができます。

叩いて取り外したベアリング。ブレーキディスク側のベアリングよりも一回り小さいです。


ベアリングの玉にはグリースBを追加しておきました。

ベアリングを挿入する前に、冷却スプレーでベアリングを冷やして挿入しやすくなるように工夫しました。

吹きつけることにより急冷することができます。


ベアリングレースシールドライバーとショックレスハンマーを使ってベアリングを打ち込んでいきます。

ベアリングが真っ直ぐに入っていくように調整しながら打ち込んでいきます。
ベアリングが初期位置まで入っていくと、叩く音が変化するのがわかります。


もちろん、ベアリングの玉にはグリースBを追加します。


ベアリングの奥にはスペーサーが入ります。入れ忘れないように注意しましょう。

スピードメーターギヤ側のベアリングも、急冷スプレーをかけてから叩き入れます。


オイルシールにもグリースBを塗布します。

なお、オイルシールの取り付けにもベアリングレースシールドライバーを使います。

オイルシールを初期位置まで打ち込むことができたら作業完了です。
フロントタイヤの手組み

今回選んだタイヤはTIMSON(ティムソン)のTS-600です。
今まで履いていたタイヤはIRCのMB-520でしたが、少しでも安くて定評のあるタイヤを探した結果、今回はTIMSONを履いてみることにしました。

タイヤの手組みの作業内容については、最初に動画を見ていただくとわかりやすいと思います


タイヤの両側のビード部分にビードワックスを塗ります。

今回装着するTIMSONのタイヤには、タイヤバルブの位置を合わせる黄色いマークがありました。
タイヤメーカーやタイヤの種類によって、位置合わせの有り無しがあります。
IRCのMB-520の場合は、タイヤバルブの位置合わせは不要でした。

「ROTATION」の文字の横に「▶▶▶」のマークがあります。この向きが進行方向になるようにタイヤを手組みする必要があるので注意しましょう。

両膝で手前のビードを押さえるのがポイントです。
一連の流れは、ぜひ動画をご参照ください。

今回はガソリンスタンドの空気充填機をお借りしてビードを上げました。
基本的に、バルブコアを装着した状態でもビードを上げることができます。
自宅にエアーコンプレッサーがあれば万全なのですが、なかなか一般人のDIYで揃えている人はいないでしょう。
以前、YouTubeにてフットポンプでビード上げする方法をご紹介したことがあります
これまで何度もフットポンプでビード上げをしてきましたが、必ずしも勝率100%を保証できるという方法とは言い切れないのが実際のところです。
ガソリンスタンドまで手組みしたタイヤを持ち込めるのであれば、それに越したことはないでしょう。
フロントホイールの取り付け

メーターギヤのグリスアップは、フロントタイヤを取り外したときにしかできないのでこの機会に実施しました。
今回はサービスマニュアルで指定されているヤマハのグリースBを塗布しましたが、柔らかめのリチウムグリースでも良いかと考えます。
その理由は、グリースBはやや固めであるため、塗りすぎるとスピードメーターの動きに影響を与える場合があるからです。

アクスルシャフトにも忘れずにグリスを塗布しておきます。
アクスルシャフトにグリスを塗布しておかないと、次回フロントタイヤを取り外すときにアクスルシャフトが固着して苦労する可能性があります。

オイルシール側のカラーを付け忘れないよう注意します。
タイヤを取り外したときに地面に落ちて転がりがちなパーツです。

メーターギヤユニットをフロントホイールの溝に合わせてアクスルシャフトを通します。
カウル外側のスピードメーターケーブルが露出している部分は、過去に2回ほど被覆が裂けてスピードメーターが動かなくなったことがあります。

ブチルゴムテープを巻いた上にさらにビニールテープを巻くことにより、被覆が裂けるのを予防できているのでおすすめの予防方法です。

アクシスZのフロントタイヤとホイールベアリング交換のまとめ
今回はYouTube動画と合わせて、アクシスZのフロントタイヤとホイールベアリング交換の様子をお伝えしました。
作業するにあたり必要な工具を揃えるのはもちろん、サービスマニュアルも必須です。必ず準備してしっかり目を通すようにしましょう。

今後も、アクシスZのメンテナンス情報を発信していきますので、YouTubeのチャンネル登録とブログのブックマーク登録をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、また次のトピックでお会いしましょう✋️