アクシスZの整備のうち、まだ記事にしていなかったオイル交換をご紹介します。
バイクでフードデリバリー稼働をしている配達員にとって、オイル交換のサイクルは通勤や通学で使う車両と比べて非常に短いものとなります。
私の場合、定期的にオイル量のチェックをしながら(アクシスZのオイル食いについてを参照)、およそ2000kmを目安にオイル交換を実施。
ちなみに、ほとんど地元エリアで稼働していますが、大抵1ヶ月程度で走行距離2000kmに達してしまいます。
アクシスZを購入してから3ヶ月程は、バイク屋さんにオイル交換をしてもらっていたのですが、以下の理由から自分でオイル交換をするようになりました。
- 入れてもらうオイルの銘柄が明らかでないことがある(信頼性が不明)
- 激安でオイル交換をしてくれるお店に頼んでいたらエンジンから異音が発生(その後バルブクリアランス調整で解決)
- 自分の入れたいオイルが指定できない場合がある
- 仕事をしっかりしてくれるお店に毎回頼むと出費がかさむ
結論としては、信頼性の高いオイルをネットで購入し、自分でオイル交換(管理)したほうが車両にも財布にも優しいということ。
オイル交換を皮切りに、Vベルトやウェイトローラーの交換もできるようになれば、バイクへの愛情も深まり結果的に長持ちするというわけです。
メンテナンスを捨て、安い中古バイクを乗り継ぐよりも遥かに安上がりですよ。
以上を踏まえたうえで、この記事を読んでいただければ以下のような悩みを持つ方への参考になるでしょう。
- オイル交換を自分自身でやってみたいが、やり方がわからない
- どのような工具を揃えればよいのかがわからない
- オイルの処理方法
それでは、実際に私がオイル交換をしたときの様子をご紹介していきます。
アクシスZのオイル交換で準備するもの
全てではないですが、ざっくりと用意するものはこんな感じ。以下に一つずつ紹介していきます。
古いオイルの受け皿を用意します。
今回はロックアイスの空き容器があったのでこれを利用。
お店で氷を買ったことのある人であれば見覚えのあるロックアイス。
これが容量的に丁度よいのです。
「一平ちゃん夜店の焼きそば」の空き容器でも代用可。
アクシスZのオイル量は0.8リットルなのですが、この容器であればすべてのオイルを受け取ることができます。
この受け皿の高さが、アクシスZのドレンボルトの位置に丁度よいのです。
この容器で回収した古いオイルを、エーモンの新型ポイパックに吸収させて燃えるゴミとして処分します。
ポイパックで直接オイルを受けることもできなくはないですが、高さと位置がうまく調整しづらいため、別容器で回収したオイルをポイパックに吸収させるという手順のほうがやりやすいです。
トルクレンチ(左)とラチェットハンドル(右)
トルクレンチとラチェットハンドルに装着して使うソケットセット(今回のオイル交換で使用するのはこの中のM12)
エンジンオイルはもちろんヤマルーブ Blue ver. For Scooter。
文字通り、スクーター専用エンジンオイル。
これを使い続けて走行距離は現在9万キロオーバー。全幅の信頼を置いています。
自分でオイル交換をするようになってからはずっとこれ。
かれこれトータル購入回数は27回。
スクーターであれば、ヤマハに限らず使えそうなのが良い。
ただし、以下の注意書きがAmazonの販売ベージにも記載されているので注意。
※TMAXには使用できません。(湿式クラッチの車輌には使用できません)
AZ(エーゼット)のオイルジョッキ(1L)です。
ヤマルーブのオイル缶には、オイルを注ぐためのノズルが付属していないため、このようなオイルジョッキが必要となります。
ヤマルーブのオイル缶の容量は1リットルで、アクシスZに必要なオイル量は0.8リットル。
オイルジョッキで0.8Lの目盛りに合わせて注いだほうが、そもそも効率的でしょう。
ドレンボルトに装着するM12のドレンワッシャー(デイトナ製)です。
ドレンワッシャーは再利用するとオイル漏れの原因となるため、オイル交換のたびに新品に交換します。
これもヤマルーブのエンジンオイルとともにずっと使い続けているものです。
とりあえず、アクシスZ乗りの方であれば、これを買っておけば問題なし。
他車種の方はドレンボルトの径を調べてから、対応のサイズのものを購入するようにしてくださいね。
オイルで汚れた部分を洗浄するパーツクリーナーです。
オイル交換のみならず、バイクを整備するうえでは頻繁に必要となるアイテム。
開封したパーツクリーナー以外にも、最低1本はストックしておくと安心です。
アクシスZのオイル交換手順(オイル抜き編)
安定した水平な地面でメインスタンドを立てる。
ドレンボルトにアクセスする際は、車体の右側から行うとやりやすい。
オイル注入口のオイルフィラーキャップを緩めます。
これにより、オイルが排出されやすくなります。
メインスタンド(センタースタンド)の軸部分にあるこれがドレンボルトです。
ラチェットハンドルに12ミリの六角ソケットを装着し、ドレンボルトを反時計回りに回して緩めます。
ここでは、ドレンボルトを完全に外しません。
ラチェットハンドルを、あらかじめボルトを緩める方向にセットしておけば、どちらに回したら良いか迷わなくて済みます。(空転しない方向に回せば、おのずとボルトが緩む)
メインスタンドの足の間にオイルの受け皿を設置したら、ドレンボルトを手で回しながら徐々に緩めます。
ドレンボルトが外れそうになったら、ドレンボルトをオイル受けに落とさないよう、手でしっかり掴みながら素早く引き抜きます。
ドレンボルトを外した瞬間、エンジンオイルがある程度勢いよく排出されます。
メインスタンドや地面に多少オイルが落ちたりしても、パーツクリーナーとウエスを使って拭き取れば問題ありません。
5分程度はオイルが抜けるのを待ちましょう。
エンジンの中のオイルを全部抜くことは不可能なので、時間で区切って作業を進めるのが良いでしょう。
オイルが「ポタッ・・・ポタッ・・・」と滴るようになってから5分くらい経てば十分でしょう。
ドレンボルトに付いた古いワッシャーを取り除いてから、ドレンボルトをパーツクリーナーで洗浄します。
その後、新しいドレンワッシャーを装着します。
アクシスZのオイル交換手順(オイル注入編)
ドレンボルトに新しいドレンワッシャーを取り付けたら、オイル排出口付近をウエスで軽く拭き、ドレンボルトを手で回らなくなるまで回して締めます。
最初から工具を使って締めるとネジ山を痛める原因になるため、最初は手の力で回して締めます。
ドレンボルトが手で回らなくなるまで締めたら、次は本締めです。
使用するのはもちろん東日モータースポーツ用トルクレンチ。
ドレンボルトを締めすぎるとネジ山を壊す原因となり、多大な修理費用がかかる場合があります。
プロの整備士であれば手の感覚で締め付けることもできるでしょうが、一般的なDIY作業においては締め付けトルクを正確に設定できるトルクレンチを必ず使うようにしましょう。
20N・m(2kgf・m)
トルクレンチは基本的に締め付ける方向にしか使わないものです。
ラチェットハンドルでドレンボルトを緩めたときと同様、あらかじめボルトを締める方向にセットしておけば、どちらに回したら良いか迷わなくて済みます。(空転しない方向に回せば、おのずとボルトが締まる)
設定した締め付けトルクに達すると「ガキン」と手応えがあるので、そこで締め付けは終了です。
ヤマルーブ Blue ver. For ScooterをAZ(エーゼット)のオイルジョッキに0.8リットル移します。
オイルジョッキの目盛りを確認しながらオイルを注ぎます。
0.8リットルの目盛りまで入れます。
あとでオイル量をチェックする際、継ぎ足し調整することは簡単なので慎重になり過ぎることはありません。
オイル量が多過ぎるほうが後々調整が大変となるので注意しましょう。
オイルフィラーキャップを外し、オイルジョッキでオイルを注ぎます。
オイルジョッキを一気に傾けて入れるとオイルがあふれてしまうので注意しましょう。
オイルジョッキを少しずつ傾けながらゆっくりと入れるのがポイントです。
オイルフィラーキャップをしっかり閉めてから、2~3分エンジンをかけます。
エンジンを止めてメインスタンドを立ててから2~3分後にオイルレベルゲージでオイル量をチェックします。
このあたりは取扱説明書にも記載されているので、未読の方は目を通しておくことをおすすめします。
オイルレベルゲージを抜いたらウエスで先端のオイルを拭き取り、ねじ込まないで点検します。
画像のように、フルレベル付近までオイルが入っていることを確認できたらOKです。
アクシスZのオイル交換手順(オイル処分編)
アクシスZから抜き取った古いオイル。
可燃ごみとして処分するには、このオイルを古い布等に染み込ませて処分する必要があります。
間違っても、下水に流したり地面に捨てたりしないようにしましょう。廃棄物処理法違反となり、厳しく罰せられることとなります。
今回は、エーモンの新型ポイパックに吸収させて処分します。
いったん別容器にて回収した古いオイルを、ポイパックに入った吸収体(綿花)に染み込ませます。
この商品、オイルの吸収性が非常に高いので安心して処分することができます。
エーモンの新型ポイパックは、古いオイルを可燃ごみとして処分することを前提とした商品です。
可燃ごみとして取り扱って問題ないか心配な場合には、お住いの自治体に問い合わせるのが良いでしょう。
アクシスZのオイル交換まとめ
今回は、フーデリ稼働で使用しているアクシスZのオイル交換をご紹介いたしました。
作業の手順としては、他のスクーターでも共通する部分があるため、参考になる部分もあったのではないでしょうか。
オイル交換は簡単な作業であるように感じる方もいらっしゃるかと思いますが、準備と工具と正しい手順を踏まえないと、バイクの故障や事故につながるので、その点は慎重に作業する必要があります。
そこでおすすめしたいのが、ヤマハのサービスマニュアルです。
私もアクシスZを整備する際には、このサービスマニュアルを参考にしながら作業しています。
詳しい手順や締め付けトルク、部品の構成などがこれ一冊で把握できるので、もはやDIY整備の必携と言っても過言ではないでしょう。
今回のアクシスZのオイル交換の記事をきっかけに、ご自身で整備することの喜びを知る人が一人でも増えたらうれしいです。