アクシスZのシート下容量は原付二種クラスでも屈指の37.5リットルを誇っており、そのスペースには大抵のものを収納することができる。
しかし、そんな大容量でありながらも収納に苦戦しがちなものがある。それが大きめサイズのヘルメットだ。
大きめサイズといってもS・M・Lといった規格サイズの話ではなく、構造的に大きめの部類に入るという意味である。いわゆる半キャップや小さめのジェット型のような「排気量125CC以下対応」と表記のあるミニバイク向け以外のヘルメットである。
ヘルメットがシート下に収納できない場合、ヘルメットホルダーにかける方法もあるが、長時間バイクを離れる場合や雨の場合には使いたくない。
そこで、リアボックス(トップケース)を取り付けて、そこに収納しようと考えるライダーも多いのではないだろうか。これならば、ヘルメットを盗難される心配も減るし、荷物の積載量も増える。
私が購入したGIVI(ジビ) 製のリアボックス。容量は30リットルで、基本的にどんなヘルメットでも一個は収納することができる。
聞きかじりではあるが、後付けでLEDのブレーキランプの設置も可能な造りになっているらしい。(技術とやる気があればだけど)
プラスアルファで入れられるものは、グローブやタオルなどの小物に限られるが、それで十分だ。なぜならば、容量を求めればそれに伴い横幅も広がり、狭いところを通過するときのネックとなるためである。ヘルメットさえ収納できれば御の字というのが個人的意見だ。
アクシスZの場合、リアボックスを装着するにはリアキャリアの設置が必須
私の所有するアクシスZの場合、リアキャリアが標準装備されていないため、リアボックスをそのまま装着することができない。
つまり、純正状態からリアボックスを装備するには、リアキャリアも併せて購入しなければならないのである。純正でリアキャリアを標準装着している車種が羨ましい限りであるが、避けては通れない道なので諦めるしかない。
一番重要なのが、このリアキャリアの選び方である。
結論からいうと、タンデムバー(パーツリスト名:ハンドル,シート)裏側にあるボルト穴のみで固定するリアキャリアはお薦めできない。
その形状のものは、安価に手に入れられるというメリットはあるが、耐久性(安全性)に懸念があると個人的には考える。
リアキャリアのボルト締結穴が2箇所破断
取り付けしてから半年ほど経ったところでボルトの締結穴が2箇所破断してしまった。
走行中にガタガタと音がするのでチェックしてみたところ、ボルトが1個無くなっており、もう1個は手で回せるくらいに緩んでいた。
リアキャリアにボックスを装着したままタンデムバーから取り外し、ひっくり返してみた。
左から2番目と4番目の取付箇所が破断しているのがわかる。
破断面。材質に問題があるかどうかは判断できないが、ボルトとの摩擦で割れたことは間違いないといえるだろう。
破断した部分の破片と、取り外したボルト。取り付けボルトは合計で4本であったが、うち1本は走行中に脱落。
破片を断面に合わせてみるとぴったり一致した。つまり、破断した部分をボルトが抑え込んだまま一定時間走行したということである。走行中に脱落しなくて本当によかった。
もし、走行中に脱落していたら後続車などを巻き込む大事故につながっていたかもしれない。思い出しただけでもぞっとする。
このたびのリアキャリア破損の要因としては、以下のようなものが挙げられる。
- 部品精度に問題があった?
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じつは、取り付け時にボルト穴の位置が微妙に合ってなくて、作業時にだいぶ苦労した記憶があった。
それにより、ボルトにかかる負荷が増大してしまったのか。
穴位置を合わせるためにDIYで曲げ加工ができればよかったのかもしれないが、そもそもそんな手段がなかった。
今思えば、クレームのうえで返品してしまったほうがよかったと思える。
- 強度を保つのが構造的に困難であった?
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構造上、穴位置が適正であったとしてもボルトに高負荷がかかりやすいと考えられる(タンデムバーに用意されているボルト穴が真下にあるため、リアキャリアから上の重みが全てタンデムバーにぶら下がるような負荷になる)
- 締め付けトルクが適正でなかった?
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取り付け時の締付けトルクに過不足があったことは考えにくい。
そもそも説明書には指定の締め付けトルクは記載されてなかったので、手の感覚または自己判断のトルクでボルトを締めるしかなかった。そのため、締めすぎず・緩すぎずのバランスを見極めて作業したつもりだ。
なお、定期的なボルトの増し締めも実施していた。
- ネジロック剤の塗布が必須だった?
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説明書にはネジロック剤を塗布するような指示はなかったので、この可能性は低いと考えられる。ただし、塗っておいたほうが結果は違ったものになったかもしれない。
結論:アクシスZのリアキャリアはアトラス製が正解だと思う
じつをいうと、市販品のアクシスZ用のリアキャリアの形状は実際のところ2種類しかない。
1種類目は、私が購入したタイプのタンデムバーの裏側4箇所のボルト穴を使って装着するもの。AmazonやYahooショッピングで販売されており、「WE Link」や「WE Parts」というブランドを名乗っている。
2種類目は、アトラスというメーカーが販売している「グラブバー タンデムグリップ併用 リアキャリア ロングタイプ」というものだ。これは、リアキャリアとグラブバーを前方2箇所で共締めし、後方2箇所をグラブバーのボルト穴で固定するというもの。
以下に比較してみると、明らかにアトラス製の方が強度に分があるように感じられる。
私が購入したアクシスZ用リアキャリア。
下の4箇所の穴とタンデムバーのボルト穴を合わせてボルトで装着するのだが、穴位置の精度が悪かったため取り付けに苦労した。
また、4箇所全てのボルトが上向きで締結されるため、リアボックスの重量がすべてボルトの頭方向にかかってしまうのが強度的な欠点。
アトラス製に比べて数千円安価であるが、性能面に関しては疑問符がつく。
これからアクシスZにリアキャリアを取り付けようと考えている人に絶対におすすめしたいのが、このアトラス製のリアキャリア。
タンデムバー前方の2箇所をリアキャリアと共締めし、後方の2箇所をタンデムバーのボルト穴でボルト装着する。
ボルトの向きや位置関係がうまく分散されているので、力学的にもこちらのほうが荷重への耐久性に優れていると思う。
アクシスZのリアキャリア選びのまとめ
どちらのリアキャリアにも共通していえることは、目視による日常点検や定期的なボルトの増し締め作業が必要であるということだ。
リアキャリア(リアボックス)はあくまでもオプションであり、積載物の重さや走行中の振動などによって負荷のかかるパーツである。
利便性を求めるのであれば、相応のメンテナンスも必須であることには留意しておかなければならない。